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ウソの国ー詩と宗教(戸田聡)

キリスト教、ポエム、宗教詩、数学・図形、など

Top Page › Archive - 2010年10月
2010-10-31 (Sun)

「航海のあと」

  航海のあと どだい長い航海などできない今にも沈みそうな船に乗りちっぽけな癒しの心を懐に小さな港から船出する前にわかっていたはずでしたよく聞こえない聴診器に文句をつける前によく聞き取れない耳を聞いたまま口をあけっぱなしの頭を打ち砕くべきだった船が傾いているのを人が引き止めるのも聞かずに海が傾いていると言ったときには遅かったのです 船の残骸といっしょに小さい島にいます小さいものにばかり縁があるらし...

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2010-10-31 (Sun)

「黒く細い道」

  黒く細い道 昔どこまで続いているのか分からない黒く細い道があったどこか人里離れたところへ向かっているようだった幾度か足を踏み入れそうになったしかし早々とその道へ行ってしまった人を見送りながらその余りの正直さを脳ミソが沸騰するほど憎んだので狡くなってやろうと無謀にも抗うことに決めた明るく広い道を選んだつもりだったでも本当は人里離れた所で絵でも描いていたい暗く細い体は場違いな明るさに外側から腐って...

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2010-10-31 (Sun)

「ロングドライブ」

  ロングドライブ 夜明け前に出発した山間の国道深夜は殆ど渋滞がない稼ぎ時とばかり次から次へと大型トラックが走るハイビームは使えない後ろの車に押されるようにロービームの届かない数十メートル先の闇に向かって突っ込んでゆく同時に対向車線のランプだらけのトラックに目を眩(くら)ませながら光の中を突っ込んでゆく前方の流れに追いつくと前を走る車の背部下端にヘッドライトが届く程度に車間を保つあやふやな記憶のロ...

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2010-10-31 (Sun)

「祈り・実感を」

  祈り・実感を もうしばらく傍(そば)にいて下さいませんかさびしいと声に出してしまいそうですからしかも調子外れの怒号のようにすでに出しているのですでも声帯は震えているものの咽喉(のど)の吸い殻の泡沫を振動させて歯間を開閉しているだけなのですいつも傍にいて下さると教えられるだけでなくすべての体液が覚えるほどに染(し)み込ませることが出来たならずぶ濡れになった厚紙の五感のために五臓六腑に満々と湛(た...

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2010-10-30 (Sat)

「歌えない傷」「土竜の太陽」

  歌えない傷 モチーフモチーフと擦り合わせる空白だけは持っている涸れた乾いた干割れたとよく効く軟膏を欲しがって塗られたがる傷だけは持っているすこぶる順調です歌えないことをモチーフに空白を合わせて塗り固めて設(しつら)えた線路は白い海に向かっていてレールは汽車を乗せ汽車には傷が乗り傷は何も乗せていませんから (1999年03月22日)    土竜の太陽 土竜(モグラ)は穴を掘る何の必要か穴を掘る土...

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2010-10-30 (Sat)

「問いの小道」

  問いの小道 ある日問いはどこかの小道を歩いていましたきれいな花やしぼんでゆく花びらやささえている茎やはぐくんでいる土にもときめいたけれど切り取ったり根こそぎ摘んでしまってはわるいからとめぼしいものを見つけてはクレヨンでスケッチクエスチョンでマークしたりしたりしていました家に持って帰ってスケッチを並べてあいだをひらひら舞う蝶にはなれないからいつかスケッチを見ながらスケッチブックをふくらませてなつ...

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2010-10-30 (Sat)

「夢の肌」「夢の予告」

  夢の肌 眠れない夜はひとつの世界重なりあう思いに乱れた欲望に解き放たれようと夢の肌を探る天井と床の間でさまよう視線が繰り返す明滅のうちに苦しみながら呼んでいるひとつの旅光も闇も夢と眠りの跡をゆるやかに流れ消えて忘れた言葉のような弱々しい悔いと気分を残して新しさにまだ気づかない朝を迎える夢の肌のあせるころ (96年、またはそれ以前)    夢の予告 目の前に丸い太いぶ厚い重い輪がぎらぎら毒々しく...

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2010-10-30 (Sat)

「生死の拠りどころ」「静けさ」

  生死の拠りどころ 生きることが死ぬことよりも怖くなるときでもそうではないときでもいちばん怖いものは死ではない だからいちばん大切なものは生ではない生よりも大切なことがあるだからといって それは死でもないそれは生きることの拠(よ)りどころとしているものと それに関わるすべてのもの例えば信仰について例えば詩のようなものを書いている時間は生よりも大切だ だからその時間に事切れてもたとえ未完のまま息絶...

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2010-10-29 (Fri)

「口をあける」「正気への警告」

  口をあける 死なずにいることしかできませんでした夜ひとり口を空ける呆けて待つ姿勢それではいけないかそれではいけないな遠くで犬が吠える狼の遠吠えに聞こえる過去を呼んでいるように聞こえる次々に犬が吠える今を憎んでいるように聞こえるまた遠くで吠える未来に向かって叫ぶ牙のようだ遠吠えしてみたい吠えてみたい叫びたい夜ひとり口を開ける声が出ない入る聞き取る間もない勢い犬歯を折る口を引き裂く喉を突き破る頸椎...

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2010-10-29 (Fri)

「一つの一日」「ゴミ捨て」「線香花火」「狭い展望台」

  一つの一日 ありふれて始まる誰のためでもない鳴く小鳥 聞かれている聞かれていない場所を告げない響く蝉の声 光り届かない無数か燃え尽きる流星の欠片(かけら) 一日である他の日ではあり得ない迎えた送る    ゴミ捨て 明日決められた日朝は忘れる夕方忘れた深夜ゴミ袋を持つ数メートル歩く道見えてくる決められた場所立て札・曜日確認ゴミを捨てるほっとする善くも悪しくもみんな捨てた中身みんな忘れた    線...

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